更新日時:2026/9/25

医療脱毛のクーリング・オフと中途解約|条件と返金額の計算方法のカバー画像

コラム

  • 医療脱毛

医療脱毛のクーリング・オフと中途解約|条件と返金額の計算方法

医療脱毛のコース契約は、契約期間が1か月を超え、かつ金額が5万円を超える場合、特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたります。

この場合、契約書面を受け取った日から数えて8日以内ならクーリング・オフができ、それ以降も法律で上限が決められた解約料で中途解約ができます。一方、契約期間が1か月を超えない契約などは対象外です。

この記事では、条件・手続き・返金額の計算方法を整理します。

対象になる契約の条件

  1. 条件1:契約期間が1か月超

  2. 条件2:金額が5万円超

  3. 条件3:対象の施術

  4. すべて満たすと:特定継続的役務提供

2017年12月の特定商取引法の改正で、美容医療が特定継続的役務提供に加わりました。対象の施術として、脱毛は「光の照射又は針を通じて電気を流すことによる方法」とされており、医療レーザー脱毛や針脱毛がこれにあたります。

注意:契約期間が1か月を超えない場合は、金額が高くても対象外です。東京都の消費生活総合センターは、即日施術の場合など契約期間が1か月を超えない契約は、契約金額が高額でも適用対象外と案内しています。

クーリング・オフのルール

  • 期間:契約書面を受け取った日から数えて8日以内

  • 方法:書面または電磁的記録(メールなど)で通知する

  • 理由:不要

  • 関連商品:契約と一緒に購入した化粧品・医薬品などの関連商品もクーリング・オフできる(使用済みの消耗品は除く)

期間は、契約書面を受け取った日から数えます。契約書面を受け取っていない場合や、書面の記載に不備がある場合の扱いは、個別の状況で異なります。迷ったら、8日を過ぎていても消費生活センターに相談してください。

クーリング・オフの手順

  1. 書面の受領日を確認

  2. 通知を作成

  3. 記録が残る方法で送る

  4. 信販会社にも通知

  5. 控えを保管

通知には、契約日、契約の名称(コース名)、金額、クリニック名、契約を解除する旨を書きます。はがきなどの書面で送る場合は、特定記録郵便や簡易書留など、送った記録が残る方法を使い、書面の両面のコピーを保管します。メールで送る場合は、送信したメールを画面の写真などで残しておきます。

医療ローンやクレジットの分割払いで契約した場合は、クリニックだけでなく、信販会社にも同じように通知します。

中途解約のルール

クーリング・オフの期間を過ぎても、理由を問わず、将来に向かって契約を解除できます(中途解約)。このとき、クリニックが請求できる解約料には上限があります。

  • 施術を1回も受ける前:2万円

  • 施術を受けた後:受けた施術の対価 + 「5万円」または「契約残額の20%」のいずれか低い額

※出典:消費者庁「特定商取引法ガイド — 特定継続的役務提供」

返金額の計算例

5回コース25万円で、中途解約時は1回5万円で精算する契約の場合を例に計算します。

施術前に解約

  • 受けた施術の対価:0円

  • 解約料の上限:2万円

  • 返金額:23万円

2回受けた後に解約

  • 受けた施術の対価:10万円

  • 解約料の上限:3万円(残額15万円の20%)

  • 返金額:12万円

4回受けた後に解約

  • 受けた施術の対価:20万円

  • 解約料の上限:1万円(残額5万円の20%)

  • 返金額:4万円

※法律で定められた上限額にもとづく計算例です。実際の返金額は契約内容によって異なります。

注意:「受けた施術の対価」を、コース割引前の通常料金で計算する契約があります。たとえば通常料金が1回8万円の場合、2回受けた後の対価は16万円、残額9万円の20%にあたる解約料が1.8万円となり、返金額は7.2万円まで減ります。契約前に「中途解約時の1回あたりの精算単価」を確認してください。

契約書で確認しておきたい項目は、教科書 第9章「契約と解約のルール」にまとめています。

対象外の契約はどうなる?

契約期間が1か月以内、または金額が5万円以下の契約には、特定商取引法のクーリング・オフや中途解約のルールは適用されません。この場合は、クリニックの契約書や利用規約に定められた解約条件に従うことになります。

甲府市消費生活センターには、「クリニックで契約した医療脱毛を解約しようとしたが、できないと言われた」という相談事例が掲載されています。対象になる契約かどうか、対象外なら解約条件がどうなっているかを、契約前に確認しておくことが大切です。支払い方法ごとの注意点は教科書 第8章「料金の全体像」も参考にしてください。

困ったときの相談先

  • 契約・解約のトラブル:消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センターにつながります)

  • 医療ローンの支払い:契約している信販会社

  • 施術後の肌の変化:施術を受けたクリニック、または皮膚科

契約前にできるトラブル予防

解約のルールを知っておくことは大切ですが、そもそも解約で困らないように契約することが、有効な予防になります。次の点を契約前に確認しておきましょう。

  • 契約書と概要書面を受け取り、その場で決めずに持ち帰って読む

  • 「本日限り」の割引を理由に即決しない

  • 中途解約時の1回あたりの精算単価と、解約の手続き方法

  • コースの有効期限と、妊娠などで通えなくなったときの休止・延長の可否

  • 一括前払い・医療ローン・都度払いなど、支払い方法の選択肢

消費者委員会で報告された国民生活センターの資料では、脱毛エステの倒産に関する相談が2022年度に6,786件寄せられ、前払い契約の返金トラブルが問題になっています。同資料は、都度払いを選べる販売方法であれば前払金の返金トラブルは生じないと指摘しています。医療脱毛もコースの前払いが主流のため、高額な回数を一括で前払いする場合は、支払い方法も含めて検討しましょう。

よくある質問

キャンペーン価格で契約した場合も、解約料の上限は同じですか?

特定商取引法の対象となる契約であれば、解約料の上限は法律で決まっています。ただし、受けた施術の対価をどの単価で計算するかは契約内容によって異なるため、契約書で確認してください。

契約した当日に1回目の施術を受けました。クーリング・オフできますか?

契約期間が1か月を超え、金額が5万円を超えるコース契約であれば、対象になる可能性があります。一方、その日だけで完結する契約など、契約期間が1か月を超えない場合は対象外です。判断に迷う場合は、消費生活センターに相談してください。

医療ローンで支払っている場合はどうすればよいですか?

クリニックへの通知とあわせて、信販会社にも解約の通知をします。クリニックとの契約を解除しても、ローンの契約が自動的に終わるとは限らないためです。

まとめ

  • 契約期間1か月超・金額5万円超の契約は、特定商取引法の対象

  • クーリング・オフは契約書面を受け取った日から8日以内、書面またはメールで

  • 中途解約は理由不要。解約料には法律上の上限がある

  • 中途解約時の精算単価は、契約前に確認する

  • 困ったら消費者ホットライン188へ

本記事は制度の一般的な説明です。個別の契約については、消費生活センターや弁護士などの専門家に相談してください。施術を受けるかどうかの判断は、医師の診察とカウンセリングを経て行いましょう。

関連記事

出典

  1. 消費者庁「特定商取引法ガイド — 特定継続的役務提供」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/

  2. 東京くらしWEB「美容医療契約、クーリング・オフが可能になる場合も?」(東京都消費生活総合センター) https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/trouble/trouble71-biyouiryou-180301.html

  3. 国民生活センター「美容医療でクーリング・オフが可能なケースも!」(2017年12月7日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20171207_1.html

  4. 国民生活センター「脱毛エステにおける倒産トラブル」(消費者委員会 第426回 資料1、2024年3月18日) https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/426/doc/20240318_shiryou1.pdf

  5. 甲府市消費生活センター「クリニックで契約した医療脱毛を解約しようとしたが、できないと言われた」 https://www.city.kofu.yamanashi.jp/shohiseikatsu/sodan/sodanjirei/029.html

※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。

新着コラム