医療脱毛の前には、照射する部位の毛を自分で剃っておくのが一般的です。
目安は施術の前日、道具は肌への負担が少ない電気シェーバーです。毛抜きやワックスなど毛根ごと抜く方法は、レーザーが反応する毛がなくなるため使いません。剃り残しがあると、有料でのシェービングになったり、その部位を照射しない扱いになったりする医療機関もあります。
この記事では、剃る理由から部位別のコツ、剃り残しの扱いまで、施術前日に確認したいポイントを整理します。
なぜ施術の前に毛を剃るのか
医療脱毛のレーザーは、毛に含まれる黒い色素(メラニン)に吸収されて熱に変わり、その熱で毛をつくる組織を破壊するしくみです(詳しくは教科書 第2章「毛と脱毛のしくみ」)。
皮膚の表面に毛が長く出ていると、その毛が熱を持ってしまいます。すると、やけどや痛みの原因になるうえ、毛根に届くはずのエネルギーが表面で使われてしまいます。そのため、表面に出ている毛は剃り、皮膚の中の毛根は残した状態で照射を受けます。
要点:「表面の毛は剃る」「毛根は残す」がセットです。剃るのはよく、抜くのはよくない、という違いはここから来ています。
剃るタイミングは「前日」が目安
自己処理は、施術の前日に済ませておくよう案内している医療機関があります。前日がよいとされるのは、次のような理由からです。
当日に剃る:剃った直後の肌は刺激に敏感になっていて、照射時の赤みや痛みにつながることがあります。
前日に剃る:肌が落ち着き、毛もほとんど伸びていない状態で施術を受けられます。
数日前に剃る:施術日までに毛が伸び、表面に出た毛が照射の妨げになることがあります。
ただし、自己処理のタイミングの指定は医療機関によって異なります。予約時や契約時の案内を優先してください。
使う道具:電気シェーバーが勧められる理由
電気シェーバー
使ってよいか:推奨
理由:刃が直接肌に触れにくく、肌の表面を傷つけにくい
カミソリ
使ってよいか:注意して使う
理由:深剃りで肌の表面を傷つけやすい。使う場合は入浴中に石けんやシェービング剤の泡で肌を保護する
毛抜き
使ってよいか:使わない
理由:毛根ごと抜くと、レーザーが反応する毛がなくなる
ワックス・除毛テープ
使ってよいか:使わない
理由:毛根ごと抜けるうえ、肌への刺激が強い
除毛クリーム
使ってよいか:医療機関に確認
理由:薬剤で肌荒れを起こすことがあるため、施術前に使ってよいか確認する
家庭用脱毛器
使ってよいか:施術前は控える
理由:施術前2週間は使わないよう案内している医療機関がある
湘南美容クリニックの案内では、施術前2週間は毛抜き・ワックス・家庭用脱毛器を使わないこと、自己処理には肌にやさしい電気シェーバーを使うことが勧められています。
剃り方の手順
肌を清潔にする
長い毛はハサミで短く
毛の流れに沿って剃る
空いた手で皮膚を伸ばす
保湿して肌を整える
電気シェーバーは、入浴後に肌が乾いた状態で、明るい場所で使うと剃り残しを見つけやすくなります。
温めたタオルで肌をやわらかくしてから、毛の流れに沿って上から下へ剃り、空いた手で皮膚を引っぱって平らにすると、刃が肌に引っかかりにくくなります。
カミソリを使う場合は、入浴中に石けんやシェービング剤の泡をつけて、軽い力で剃ります。同じ場所を何度も往復させると、肌荒れの原因になります。
剃ったあとは、保湿剤で肌を整えておきます。
ただし施術当日は、照射部位に日焼け止め・制汗剤・ボディクリームを塗らずに来院するよう案内している医療機関があります。成分が毛穴に残ると、レーザーの効果が弱まるためとされています。
部位別のコツ
VIO
床に鏡を置いて確認しながら剃ります。長い毛は先にハサミで短くしておくと、刃が引っかかりにくくなります。
粘膜に近いIライン・Oラインは、デリケートゾーン用のクリームやワセリンを塗ってから剃るよう勧めている医療機関もあります。
自分で剃るのが難しい場合は、医療機関のシェービングを利用できるか確認しておきましょう。
背中・うなじ
自分では手が届きにくい部位です。医療機関のシェービングの対象になるか、有料か無料かを事前に確認します。家族に手伝ってもらう場合も、電気シェーバーを使います。
顔
顔用の電気シェーバーを使います。眉や目のまわりは照射範囲に含まれないため、剃る必要はありません。ニキビや傷がある場所は避けて剃ります。
腕・脚
面積が広く、ひざ・ひじ・足首など骨に近い部分で剃り残しが出やすくなります。明るい場所で、皮膚を伸ばしながら確認します。
剃り残しがあったらどうなる?
剃り残しの扱いは、医療機関によって大きく異なります。
スタッフが無料で剃ってくれる
有料でシェービングする(例:エスクリニックは1部位550円と案内。2022年2月時点)
剃り残しの部位は照射せず、その回は消化扱いになる(エスクリニックの案内)
3つ目のように、剃り残しがあると照射そのものを受けられない場合もあります。シェービング代は、コース料金とは別にかかる費用の一つです。契約前に、剃り残しの扱いと料金を確認しておきましょう。料金の全体像は教科書 第8章「料金の全体像」にまとめています。
自己処理でよくある失敗
数日前に剃って安心してしまう:施術日までに毛が伸び、表面に出た毛が照射の妨げになることがあります
カミソリで何度も往復して深剃りする:肌の表面が荒れ、照射時の赤みや痛みの原因になります
見えにくい場所を確認しない:ひざの裏、ひじ、足首、Oラインなどは剃り残しが出やすい部位です
毛抜きで仕上げる:剃り残しを毛抜きで抜くと、その毛穴はレーザーが反応しなくなります
当日に照射部位へ保湿クリームを塗る:成分が毛穴に残り、照射に影響することがあります
失敗の多くは、「前日に」「電気シェーバーで」「明るい場所で確認する」の3つで防げます。手が届かない部位は無理をせず、医療機関のシェービングの対象になるかを先に確認しておくと、当日あわてずに済みます。
剃ったあとの肌を整えるケア
剃ったあとの肌は、表面の角質が削られて乾燥しやすい状態です。前日の入浴後に剃った場合は、その夜のうちに保湿剤で肌を整えておきます。刺激の少ない保湿剤を選び、こすらずにやさしくなじませるのが基本です。
剃った直後に赤みやヒリつきが出た場合は、冷やして様子を見ます。翌日になっても赤みや傷が残っている場合は、来院前に医療機関へ連絡してください。肌の状態によっては、その部位を避けて照射するなどの対応がとられます。
よくある質問
施術当日に剃ってもよいですか?
剃った直後の肌は刺激に敏感なため、前日までに済ませるよう案内している医療機関があります。当日しか時間がとれない場合は、予約先の医療機関に確認してください。
剃ったあとに肌が赤くなりました。施術は受けられますか?
赤みや傷の程度によって、その部位を避けて照射する、日程を変更するなどの対応になります。受けられるかどうかは医療機関が肌の状態を見て判断するため、来院前に連絡しておくと安心です。
カウンセリングの日も剃っておく必要がありますか?
カウンセリングだけの日は剃毛が不要な場合もありますが、同じ日にテスト照射や初回の施術を行う場合は剃っておく必要があります。予約時に当日の内容を確認してください。
まとめ
剃るのは施術の前日が目安(医療機関の指示を優先)
道具は電気シェーバー。カミソリは泡で肌を保護して使う
毛抜き・ワックスなど毛根ごと抜く処理はしない
背中・うなじ・Oラインなど自分で剃れない部位は、医療機関の対応を事前に確認
剃り残しの扱い(無料・有料・照射しない)は契約前に確認
自己処理の方法で迷う部位や、肌荒れしやすい方は、カウンセリングで医師・看護師に相談してください。施術を受けられるかどうかの判断は、医師の診察とカウンセリングで行われます。
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出典
エスクリニック恵比寿「事前の剃毛のお願い」 https://www.esclinic.jp/teimou/
湘南美容クリニック 京都院「【医療脱毛】当日の準備ガイド」 https://www.s-b-c.net/clinic/branch/kyoto/special/kyoto-dermal-preparation/
※本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療の判断は医師の診察を受けてください。自己処理の方法は医療機関ごとに案内が異なるため、通院先の指示を優先してください。
