医療脱毛のあとにできる赤いブツブツや、白っぽい膿をもったできものは、毛嚢炎(もうのうえん)の可能性があります。
毛嚢炎は、毛穴の奥に細菌が入って起こる浅い炎症です。レーザー照射で肌のバリア機能が一時的に弱まるため、施術後に起こることがあると複数の医療機関が案内しています。
軽いものは自然に治ることもありますが、つぶさず、清潔と保湿を心がけ、気になるときは施術を受けたクリニックへ連絡するのが基本です。
毛嚢炎とは?ニキビとの違い
毛嚢炎は「毛包炎(もうほうえん)」とも呼ばれます。毛包(毛嚢)とは、毛の根元を包んでいる袋状の組織のことです。
MSDマニュアル家庭版(2025年7月改訂)では、毛包炎を「毛包に生じる感染症」と説明しています。毛の根元が小さな白ニキビのようになり、かすかな痛みを伴うことがあります。
主な原因菌は、皮膚にふだんからいる黄色ブドウ球菌です。ひげ剃りなどで毛包が刺激されることも、きっかけの一つとされています。
見た目はニキビとよく似ています。ニキビとは原因となる菌や、毛穴の詰まり(面ぽう)の有無が違うと説明している医療機関があります。原因が違えば、適した薬も変わることがあります。見た目だけで判断せず、診察を受けることが大切です。
補足:毛包炎が深く広がり、1つの毛包とその周りに膿がたまった状態は「せつ(おでき)」と呼ばれます(MSDマニュアル家庭版)。腫れや痛みが強い場合は、早めに医療機関に相談してください。
医療脱毛のあとに毛嚢炎が起こる理由
医療脱毛のレーザーは、毛の黒い色素に熱を集めて毛を作る組織にダメージを与えます。このとき、周りの肌にも熱の影響が少なからず及びます。
複数の医療機関が、施術後に毛嚢炎が起こる理由として次の点を挙げています。
バリア機能の低下:照射の熱で肌が乾燥し、外からの刺激に弱くなる
毛穴への細菌の侵入:弱った状態の毛穴に、黄色ブドウ球菌などが入り込みやすくなる
自己処理の刺激:カミソリや毛抜きで肌や毛穴に小さな傷ができる
レーザーのしくみや、毛が抜けていく過程については、教科書 第2章 毛と脱毛のしくみでも解説しています。施術後の肌トラブル全体の中での位置づけは、教科書 第7章 リスクと副作用にまとめています。
出やすい時期と部位
時期の目安
毛嚢炎が出る時期について、医療機関の案内には幅があります。
施術の翌日〜3日後に多いと案内している医療機関があります
数日から1〜2週間後に出ることもあると案内している医療機関もあります
施術の回数では、初回〜3回目に見られやすいとする医療機関があります。ただし、時期や回数には個人差があります。
出やすい部位
毛穴があれば全身どこにでも起こり得ます。そのうえで、多くの医療機関が次のような部位を挙げています。
こすれやすい部位:首、ひじ、ひざ、ワキ
蒸れやすい部位:VIO(デリケートゾーン)、おしり、太もも
皮脂が多い部位:顔、胸、背中
下着や衣類がこすれる部位、汗をかきやすい部位は特に注意が必要です。
毛嚢炎ができたときの対処法
軽い毛嚢炎は、1〜2週間ほどで自然に治ることが多いと案内している医療機関があります。ただし、これはあくまで目安です。
自分でできることは、主に次のとおりです。
患部を触ったり、つぶしたりしない
やさしく洗って清潔に保つ(こすり洗いはしない)
保湿をして、肌のバリア機能を支える
患部の自己処理(カミソリ・毛抜き)は控える
締め付けの強い下着や衣類を避け、蒸れを減らす
注意:膿を出そうとしてつぶすと、細菌が広がったり、跡が残ったりするおそれがあります。
医療機関では、原因に応じて抗菌薬の塗り薬や飲み薬が使われます(MSDマニュアル家庭版)。症状によっては、ほかの薬が処方されることもあります。
施術を受けたクリニックによっては、施術後の肌トラブルの診察や薬の処方を無料で行うと案内しているところがあります。費用の扱いは施設ごとに違うため、契約前のカウンセリングで確認しておくと安心です。
気になる症状があれば、施術を受けたクリニックへ連絡してください。特に、次のようなときは早めの相談がすすめられます。
赤みや腫れが広がっている
痛みや熱っぽさが強い
膿をもったできものが増えている
1週間以上たっても良くならない
毛嚢炎があるときの次回の施術
毛嚢炎が出ている部位には、そのまま照射できない場合があります。炎症や膿がある状態では、次の施術の予約が取れないと案内している医療機関もあります。
悪化させると施術を受けられなくなる可能性がある、と案内している医療機関もあります。予約日が近いときは、自己判断で施術を受けに行くのではなく、事前にクリニックへ肌の状態を伝えましょう。
照射の可否や日程の変更は、医師の診察とカウンセリングで判断されます。施術の間隔については、教科書 第4章 効果・回数・期間で解説しています。
毛嚢炎を防ぐために施術前後でできること
毛嚢炎の予防として、複数の医療機関が共通して挙げているのは、肌のバリア機能を保つことと、毛穴を刺激しないことです。
施術前
自己処理はカミソリより電気シェーバーを使う
毛抜きやワックスで毛を抜かない
日焼けを避け、ふだんから保湿を続ける
施術後
当日〜数日は、肌をこすらずやさしく洗う
保湿をていねいに行う
汗をかいたら清潔に保ち、下着や寝具も清潔にする
睡眠や食事など生活リズムを整える
こうした対策をとっても、毛嚢炎が起こる可能性はあります。予防はリスクを下げるための工夫と考えましょう。
相談先を知っておく
国民生活センターの発表(2017年5月)によると、2012年度から2017年2月末までの約5年間に、脱毛施術による危害の相談が964件寄せられました。このうち医療機関での施術による危害は284件でした。
同センターは、施術前にリスクについて十分な説明を求めること、危害が起きたら早めに医療機関を受診することをすすめています。
施術を受けたクリニックの対応に納得できないときは、消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談する方法もあります。
よくある質問
毛嚢炎は放っておいても治りますか?
軽いものは1〜2週間ほどで自然に治ることが多いと案内している医療機関があります。ただし個人差があり、悪化して「せつ(おでき)」になることもあります。赤みや腫れが広がる、痛みが強いなど気になる症状があれば、施術を受けたクリニックへ連絡してください。
市販薬を使ってもいいですか?
抗菌成分を含む市販の塗り薬を挙げている医療機関もあります。ただ、毛嚢炎とニキビなどは見た目が似ていて、原因によって適した薬が変わることがあります。施術後にできたものは、まず施術を受けたクリニックに相談するとよいでしょう。
毛嚢炎ができやすい体質だと、医療脱毛は受けられませんか?
一律に受けられないわけではありません。ただ、施術当日の肌の状態によっては、照射できない場合があります。過去に毛嚢炎ができやすかった場合は、カウンセリングで伝えておきましょう。受けられるかどうかは、医師の診察とカウンセリングで判断されます。
まとめ
毛嚢炎は、毛穴の奥に細菌が入って起こる浅い炎症
医療脱毛後は肌のバリア機能が弱まり、起こることがある
施術の翌日〜2週間後ごろ、VIOや首、背中などに出やすいと案内する医療機関がある
つぶさず、清潔と保湿を心がける
悪化すると次回の施術を受けられないことがある
気になる症状があれば、施術を受けたクリニックへ連絡する
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出典
毛包炎と皮膚膿瘍・MSDマニュアル家庭版(2025年7月改訂) https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/17-皮膚の病気/皮膚細菌感染症/毛包炎と皮膚膿瘍
なくならない脱毛施術による危害(2017年5月11日)・独立行政法人国民生活センター https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170511_1.html
毛嚢炎(毛包炎)は脱毛が原因?早く治す方法や予防法を徹底解説(医師監修)・アステリアクリニック https://asteria-clinic.jp/article/cat-hair-removal/cat-hair-removal-women/hair-removal-causes-folliculitis/
脱毛が原因の毛嚢炎を予防するためのスキンケア・レジーナクリニック https://www.reginaclinic.jp/column/basic/00013/
医療脱毛で毛嚢炎ができる原因と早く治す方法を医師が解説・クレストスキンクリニック https://crestskin.clinic/blog/clinic/1556/
毛嚢炎ができる原因と早く治す方法を解説(皮膚科医監修)・ルシアクリニック https://lucia-c.com/hairremoval/column/folliculitis/
※本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療の判断は医師の診察を受けてください。
